🐟💧九州・沖縄の「自然共生サイト」② ～熊本・宮崎・鹿児島・沖縄～🌳🦌 |

ごくありふれた身近な自然も、生物多様性の保全が図られている区域であり、守り継いでいくべき大切な場所です。

熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の「自然共生サイト」の認定事業者の方々に、特徴や活動について教えていただきました。

ぜひ身近な「自然共生サイト」に目を向けてみましょう。

熊本県

　阿蘇グリーンストックトラスト地（駅裏/１区）／（三角地/2区）

　所在地：熊本県阿蘇市

　申請者：公益財団法人阿蘇グリーンストック

　　認定時期：2023年度前期

＜サイトの特徴＞

公益財団法人阿蘇グリーンストックは「駅裏/１区」、「三角地/2区」の2か所の自然共生サイトを有しています。生物多様性が豊かな草原にはヤツシロソウやツクシマツモト、ユウスゲ、サクラソウ、キスミレなど絶滅危惧種が多く見られます。草原は毎年人の手が入らないと荒れてしまうため、ボランティアや地元の方々、企業や行政等と協力しながら野焼きや草刈りなどの作業を実施しており、新しい形の草原保全活動の実践の場所としても注目されています。

＜保全活動の内容＞

当財団では、自然共生サイトのほか、阿蘇の野焼きを支援するためにボランティアの育成を行っています。ボランティア会員は1200名を超え、熊本だけでなく福岡等の都市圏の方々にも参加いただきながらオール九州で阿蘇の草原を守っています。自然共生サイトは特に生物多様性が豊かなことから、希少種の保全活動を重点的に実施しているほか、調査研究、環境教育、野焼きの技術や文化を継承する場所としても活用しています。

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　やまが和栗の里

　所在地：熊本県山鹿市

　申請者：株式会社博多大丸／やまが和栗の里

　　認定時期：2024年度後期

＜サイトの特徴＞

やまが和栗の里は、熊本県山鹿市に位置し、山の地形をそのまま活かした谷間の栗畑で、平地の栗畑と異なり、草本やそこに生息する生物が数多く存在しています。5月から6月の栗の開花時期では日本ミツバチを始めとする多くの昆虫の往来があり、栗の受粉に寄与しています。また、サイト内には沢もあり、カワセミなど多くの野鳥の飛来も確認されています。

＜保全活動の内容＞

現活動団体が60年以上果樹栽培を行っており、７品種の栗を栽培しています。近隣の小中学校に産業や環境の学習の場の提供も行っています。また、やまがの和栗を使用した新たな特産品の開発やエコツーリズムの造成を目指し、さらに生物多様性保全の輪を広げていきます。

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　淘汰山森林学習路

　所在地：熊本県上天草市

　申請者：淘汰山金性寺

　　認定時期：2024年度後期

＜サイトの特徴＞

三代将軍家光の命を受けて再建立された金性寺の社寺林は、江戸期後期には、88の石仏を安置して、天草新四国八十八ヶ所霊場として、数多くの人々がこの地を訪れている。お遍路として聖域の認識が定着し、周辺では伐採され植林される中、この社寺林の照葉樹林は鎮守の森として残された。また、お寺の正門入口の堀には、数種類の蓮が生育しており、花咲く時期には、白、ピンク等の美しい蓮の花が咲き誇る。

＜保全活動の内容＞

現在では、観光客がお遍路を訪れ天草の森林浴を楽しまれている。
お遍路を日々整備していく中で、樹種名の札を設置するなどして、地元小中学校の野外学習の場としても
活用され、近所にある保育園の散歩コースでもある。

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　みさとの里うしろだに

　所在地：熊本県下益城郡美里町

　申請者：みさと土といのち協同農園

　　認定時期：2024年度後期

＜サイトの特徴＞

谷間の耕作放棄地を再生し、15年間無農薬・無肥料の自然栽培（稲、果樹など、有機JAS認証）をしてきました。また、ビオトープを造成して、生物多様性の保全に努めてきました。
0.88㌶の面積に確認された棒植物①植物63種、②動物79種（哺乳類10種、鳥類8種、爬虫類6種、両生類7種、昆虫類44種、貝類3種）
☆このうち希少種（植物1種、哺乳類1種、鳥類1種、昆虫類2種、貝類1種）

＜保全活動の内容＞

地域と連携し、下記のような活動に取り組んでいます。

①年に4回の草切

②子どもたちの農業体験（田植え、稲刈り、餅つきなど）

③生き物調査
④講話「自然といのちと農業」（自然といのちを大切にした農業のあり方）

⑤地域の農民史の作成（いのちをつむぐ農民の歴史と創造）

☆8月10～11日の豪雨によって道路などが被害を受けました。時間をかけて復旧しながら、同時に、自然　や生き物の再生の様子を記録をしていきます。

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　相良村瀬戸堤自然生態園

　所在地：熊本県球磨郡相良村

　申請者：一般社団法人球磨川NP

　　認定時期：2023年度後期

＜サイトの特徴＞

相良村瀬戸堤自然生態園は、かつて深田だった2haほどの湿地環境です。ハッチョウトンボをはじめ多くのトンボ類や、水田に生育する希少な水草が確認されています。一方で、営農放棄後は、ヨシなどの高い草本の繁茂により、開放水面の減少や明るく開けた環境を好む生物の減少が課題となっています。人と自然が共に生きる場として、多様な生態系の保全や再生の取り組みを行っています。

＜保全活動の内容＞

熊本県立大学が代表機関である「地域共創流域治水」の研究プロジェクトの一環として、相良村や損害保険会社ホールディングスMS&ADなどと連携し、生物多様性の保全と水災リスク低減を両立する取り組みを進めています。地域住民や学生、企業の協力のもと、年6回ほどの草刈りや環境調査などを実施し、多様な主体が関わる協働の場として活動を行っています。

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　阿蘇さとう農園放牧地➀

　所在地：熊本県阿蘇市

　申請者：阿蘇さとう農園

＜サイトの特徴＞

阿蘇地域の草原の中の一部で、根子岳の近くにあります。ここは毎年、野焼きをすることで草原の状態を維持しています。昔から放牧場として利用されてきた場所です。標高は850ｍほど。斜面・尾根部・谷部といった地形のバリエーションがあることで、多様な植物が生育しています。ホソバオグルマやアソノコギリソウなど希少な植物も生育しているため、これからも守っていきたい大好きな場所です。

＜保全活動の内容＞

この場所は斜面・尾根部・谷部と地形のバリエーションがあるため、生物多様性を意識したゾーニングを実践していきたいと考えています。元々、めん羊の放牧地として借りた土地ですが、採草地・放牧地・茅場等に用途を分けて使用しながら、年に１回は野焼きを継続し、人の暮らしに活用しながら生態系も維持していく場所として実践していきます。

宮崎県

　日向・平岩クロメの海の森

　所在地：宮崎県日向市

　申請者：平岩採介藻グループ

　　認定時期：2024年度後期

＜サイトの特徴＞

地元の素潜り漁師が20年かけて回復させ、守ってきたクロメの海の森。
1990年代にクロメ（海藻・アラメの仲間）の藻場が失われ、そこに棲む生き物も減ってしまいました。
1996年に９人の素潜り漁師が海の変化に気づいて藻場の再生をはじめ、地道に活動を続けてきた結果、豊かなクロメの海の森が戻り、イセエビや小魚などたくさんの生き物と、伝統的な漁業や漁村文化を支え、ウミガメなどの希少な生き物もやってきます。
宮崎県内でもクロメが残る場所は少なく、この大切な海の森を次世代に残していきたいです。

＜保全活動の内容＞

気候変動などで海のバランスが崩れ増えすぎてしまったウニが、海藻を食べ尽くさないよう、ウニの密度を管理しています。
素潜り漁師5名と、地域のサーファー2名で透明度が上がる11月後半から2月に素潜りで海に入り、特製のハンマーで一つ一つウニを駆除しています（宮崎でも冬の海はとても寒いです！）。

海藻の生育状況やウニの密度をモニタリングして効果を確認しながら、徐々に活動広げ、現在は26haほどで活動。今後はさらに広げていく検討をしています。
宮崎県立海洋高校の実習や、宮崎大学の課外学習の受け入れなど、地域の教育や後継者の育成にも力を入れています。

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　コカ･コーラボトラーズジャパン水源の森えびの

　所在地：宮崎県えびの市

　申請者：コカ･コーラボトラーズジャパン株式会社

　　認定時期：2023年度後期

＜サイトの特徴＞

標高658ｍの城山は、えびの工場の水源域に位置する広葉樹林と竹林が広がる里山です。ニホンカワトンボやクマタカ（ともに絶滅危惧ⅠB類）、ムカシヤンマ、ビロードイチゴなど希少種が確認されており、水源涵養とともに高い生物多様性を有する森林として保全活動を継続しています。

＜保全活動の内容＞

水源涵養と生物多様性保全を目的に、植栽・間伐・林道整備などの森林管理を実施。竹林では獣害対策や整備を行い、地域住民や社員が参加する収穫体験イベントも開催。自然ゾーンは非干渉とし、大学との連携による調査や環境教育の場としての活用も進めています。

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　大栄環境宮崎三股山林

　所在地：宮崎県北諸県郡三股町

　申請者：大栄環境株式会社

　　認定時期：2023年度前期

＜サイトの特徴＞

大栄環境宮崎三股山林は、地域のシンボルとなる鰐塚山の一部山林エリア（約493ha）のなかに自然共生サイトが認定されています。同エリアは、高地の希少植物や南限植物が多数生育し、また宮崎県や鹿児島県に流れる大淀川水系の上流部に位置するため水源涵養の重要なエリアにもなっています。また、同エリアではグループ子会社である（株）総合農林が林業を行っており、生物多様性の保全も行いつつ、持続可能な森林経営に努めています。

＜保全活動の内容＞

春、夏、秋の季節ごとにモニタリング調査を行い、自生する希少植物や南限植物の分布・開花状況の記録を進めています。また、同エリア内では森林経営計画に基づく施業を実施していますが、間伐エリアの選定や作業道の整備、獣害対策などにも生物多様性の保全に考慮した森林施業を取り入れています。

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　東洋紡「綾の森」

　所在地：宮崎県東諸県郡綾町

　申請者：東洋紡株式会社

　　認定時期：2023年度後期

＜サイトの特徴＞

当社の社有林は、南側には水源涵養や木材生産の場としてスギ・ヒノキの人工林が広がり、北側や東側には自然性の高いシイ・カシの里山林（二次林）が広がっています。それ以外にも人工林の中にパッチ状に里山林も有するなど、人の手による維持管理と自然にまかせた遷移との両方により、タイプの異なる環境を混在させた森です。さらに、北西側には綾北川を挟んで、「綾ユネスコエコパーク」が隣接し、南側には地域住民の暮らしが営まれています。「綾の森」一帯は奥山との連続的な環境を形成し、人と自然の共生を目指す地域です。

＜保全活動の内容＞

人工林エリアでは、間伐や下草狩りなどの適切な森林管理を実施し、里山林エリアでは定期的な生物調査を実施しています。今後、調査結果を蓄積して社有林の生物多様性を評価して参ります。また、所在する綾町と包括連携協定を締結し、情報交換やイベントへの協力をしています。

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　MRTの森及び好隣梅

　所在地：宮崎県宮崎市

　申請者：MRT宮崎放送

　　認定時期：2024年度後期

＜サイトの特徴＞

「MRTの森及び好隣梅」は、スギ人工林伐採後の天然生林再生地（MRTの森エリア）と自然公園内の梅林
（好隣梅エリア）から成り、絶滅危惧種であるタイワンツバメシジミの生育地となっている。

伐採で明るい環境が創出されたことで、遷移初期植生である草本類が繁茂し、幼虫の餌資源や越冬場にもなって生育に適した環境となっている。

同種の生息を考慮した植生管理によって生息域が維持され、「人の経済活動と希少種の共生」のあり方を示す。経済活動（林業）を工夫しながら行いつつ、生物多様性を向上させる実例として啓蒙に貢献する。

＜保全活動の内容＞

当エリアでは、MRT宮崎放送が主体となって更新補助作業や植生管理を企画し、宮崎中央森林組合に
委託してタイワンツバメシジミの生息適地となるように配慮した下刈り作業を実施。当社従業員も下刈り作業等に参加し、その意義を広く情報発信している。

また宮崎大学農学部や宮崎昆虫同好会を中心に継続的なモニタリング調査を行い、自然環境の把握とともに、適切な植生管理にも生かしている。

エリア内では、地域の児童たちと地域本来の樹種による植樹を実施。生き物観察会も開催し、研究および教育の場を提供している。地域の生物多様性回復に寄与し、地域と連携して次世代につなぐ教育活動にも取り組んでいる。

鹿児島県

　山川の海のゆりかご

　所在地：鹿児島県指宿市

　申請者：山川町漁業協同組合

　　認定時期：2023年度後期

＜サイトの特徴＞

アマモ場（海草藻場）は、稚魚の産卵・育成の場、「海のゆりかご」として持続的な水産業を目指すとともに、海中のCO2を吸収する“ブルーカーボン”として気候変動対策やネイチャーポジティブにも貢献すると注目されています。
しかしながら、日本の南限と知られている山川沿岸域のアマモ場は、近年の環境変化や魚類の食害によって「磯焼け」状態となっている。これは国内各地でも同様の現象が発生しており、大きな問題となっている。

＜保全活動の内容＞

囲い網を用いて魚類の食害対策を実施し、その中に地元小学生や企業の方々とヤシガラマットを活用してアマモの播種作業をしている。
その結果、初年度に100㎡のアマモ場を造成することに成功。翌年には成長したアマモから種が共有され、1,200㎡に拡大。
今後の展望として、植食性魚類をお弁当の食材として活用することによって、「食べて豊かな海を作ろう！」をコンセプトに多くの方々に食べてもらうことによって豊かな海づくりを目指す。

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　瀬戸内町ネリヤカナヤの海

　所在地：鹿児島県大島郡瀬戸内町

　申請者：瀬戸内漁業協同組合、鹿児島県瀬戸内町

　　認定時期：2024年度前期

＜サイトの特徴＞

鹿児島県瀬戸内町は、奄美大島の最南端に位置し、加計呂麻島を挟んで海峡を有する港町があり、沿岸部はリアス式海岸となっており、サンゴ礁が形成され豊富な海洋生物が生息している。入江は漁業や避難港に古来から活用されており、地理的特性を活かした漁業は町の基幹産業であり、追込網、素潜り漁など伝統漁も継続して行われている。また、町内の小名瀬地区ではメヒルギ個体群が存在しており、マングローブの生態系が形成されており生物多様性を育んでいる。

＜保全活動の内容＞

磯焼けによって消失した藻場を再生させるため、仕切り網の活用や海底の基質の改善を行うことによって、持続可能な水産業に向けて活動している。
また、地元の高校生や企業に環境活動の場の提供として、豊かな生態系を育むマングローブの苗づくり・植栽を行うことによって気候変動対策につながることや生物多様性保全の重要性を理解してもらっている。

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　アマミノクロウサギ・トラスト 3 号地

　所在地：鹿児島県大島郡龍郷町

　申請者：公益社団法人日本ナショナル・トラスト協会

　　認定時期：2023年度前期

＜サイトの特徴＞

絶滅危惧種アマミノクロウサギをシンボルとして、多くの野生生物の生息地を守ることを目的とした森です。ナショナル・トラスト活動により当協会が取得しました。ナショナル・トラスト活動は、個人や企業から広く寄付金を募って⼟地を買い取るなどして、豊かな⾃然を「国民の財産」として保存する活動です。本サイトは、この仕組みにより守られています。

＜保全活動の内容＞

アマミノクロウサギの生息地となっている森を、当協会が所有することで維持しています。環境省と情報交換等を行いながら、環境省が実施・把握しているその他の生物のモニタリング結果も含め、本サイトの状況把握に努めていきます。

沖縄県

　石垣島　野底ウミショウブ群落　自然共生サイト

　所在地：沖縄県石垣市

　申請者：沖縄セルラー電話株式会社

　　認定時期：2024年度前期